深淵教典

聖夜

カラオケ。今日が本番。失敗すれば、次の機会は訪れない。そんな覚悟で挑んだ。駅で集合し、カラオケボックスへと向かう。街はまるで祝福の光に包まれたかのように輝いていた。それにしても、この時期にカラオケを予約できたとは……察するに、クリスマス会の...
深淵教典

聖夜を彩る者たち

冬休みに入った。俺は歌の修練に没頭するあまり、贈り物を用意できていなかった。そんな時、ガーディアン先輩がクリスマスプレゼントを買いに行くというので、俺も同行した。都会はすでに聖夜の幻想に包まれていた。まばゆい光に覆われ、人々は浮かれ騒ぐ。俺...
深淵教典

盟約

朗報だ。ついに、ガーディアン先輩がやり遂げた。美術部のグループメッセージに、一通の誘いが舞い降りる。内容はクリスマス会の招集だ。先輩が己の意志で声を上げたその時、一つの壁を超えたのだろう。だが、俺は応じられなかった。集いの日時は24日、その...
深淵教典

沈黙する勇気

世界がクリスマスの色に染まりゆく。12月も中旬ともなれば、街はクリスマスの装飾をした店であふれかえっていた。いつもならば、先輩たちにクリスマスプレゼントの相談を持ちかけるだろう。そして、その流れで自然と美術部の宴が開催されるのが常だった。だ...
深淵教典

サーヴァント・サイレンス

ククククッ…。ついにやったぞ。俺は、一人でカラオケに足を踏み入れた!学校帰り、カラオケへと潜入するべく拠点から離れた店舗を訪れた。受付を済ませるまでの時間は、緊張に満ちていた。しかし、一度個室に足を踏み入れてしまえば、そこに広がるのは俺だけ...
深淵教典

人の在り方

クリスマスプレゼント。定められた予算は二千円。この枠の中で何を選ぶべきか。クリスマスにちなんだ贈り物か、日常に馴染む実用品か。刹那の悦楽をもたらす菓子するか。答えは見えない。俺は“電脳海(インターネット)”へと潜った。だが、この海は俺の肌に...
深淵教典

禁則事項

カラオケ――未知の領域へ足を踏み入れる以上、準備は必要だ。俺はカラオケの作法について調査を開始した。まず、序盤は盛り上がる曲を選べ。バラードなどという選択は、もってのほか。次に、自分しか知らぬ曲を歌うのは禁忌。孤独な旋律は、場を凍てつかせる...
深淵教典

聖夜の試練

ファミレスの一角に集い、ドリンクバーと山盛りポテトを囲む。俺たちは何度、この時を繰り返すのか。街は聖夜へむけて、祝祭の気配に包まれ始めている。そんな中、異端の六芒星はある決断を下した。カラオケでのクリスマス会だ。ケーキを食べ、プレゼントを交...
深淵教典

消えゆく闇

俺の闇の力が、徐々に輝きを失いつつある。力を持たぬ者が、果たして深淵教典を記す資格を持つのか?答えは否。深淵を覗けぬ者に、その資格はない。だが、不思議と焦燥はなかった。それでいいとさえ思っている自分がいる。……力をすべて失った時、俺は俺でい...
深淵教典

沈黙する四つの影

今日はラーメンの日。ドリーマーは予定があり、五人での出陣となった。電車に乗り、流れ去る景色を眺めながら揺られる。放課後に都会へ向かうと、大人になったような気分になる。目的地は、グラトニーが誇るとっておきの店。電車の中でファングがどんなラーメ...